アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎 の診療

アトピー性皮膚炎は乳児のホホのじゅくじゅくした湿疹からはじまり、幼児、年長児~思春期にかけて特徴的な場所に症状が現れます。多くは成長とともに症状がおさまり、軽快してくることが一般的ですが、青年期まで続くすることも稀ではありません。皮膚炎のある部位は皮膚本来のバリアとしての機能が弱いため、皮膚に付着した異物(アレルゲン)に反応するようになってしまい、アレルギーの原因となります。そのため、赤ちゃんのできるだけ早期からしっかりとしたスキンケア、薬物治療をすることで、皮膚炎を鎮静化させ、肌を丈夫に成長させることが大切と考えて診療にあたっています。
一方、経過が長い成人の方では、症状によって仕事や家庭生活にできるだけ影響がでないような状態で過ごせること、炎症の良好なコントロールによって薬の使用量を減らしていくことを目指してまいります。

よくある質問Q&A 

小児期のアトピー性皮膚炎
Q1(乳児の)子供がアトピー性皮膚炎なのか乳児湿疹なのか区別が分からず不安なのですが、、、。
Q2アトピー性皮膚炎=アレルギーなのでしょうか?
Q3アトピー対策として、乳幼児で注意することとはなんでしょうか?
Q4薬は必ず使用しなければならないものでしょうか?ステロイド剤の使用が不安です。

Q1(乳児の)子供がアトピー性皮膚炎なのか乳児湿疹なのか区別が分からず不安なのですが、、、。

Aアトピー性皮膚炎は、体の特徴的な場所に湿疹をくり返すことで、診断されます。湿疹のおきている場所、分布をみることによって、皮膚が未熟なために(摩擦や、乾燥で)おきている乳児湿疹なのか、アレルギー性におきている湿疹なのか見当がつきます。そして、それに応じたケアをしていくことで治癒が期待されますので、あまり心配しないで(毎日赤ちゃんの肌を見慣れている)皮膚科医に相談してみてください。

Q2アトピー性皮膚炎=アレルギーなのでしょうか?

Aアトピー性皮膚炎と診断されると、アレルギーが原因では、どんな対策をしたらよいのか、と心配になりますね。ところがアトピー性皮膚炎の原因は多様で、アレルギーよりも体質的に皮膚のバリア機能が脆弱(ぜいじゃく)なことが関係しています。特に年少児ほど皮膚が未熟で弱いため、乾燥や暑さによる発汗などの環境要因、頬や口まわりのような食べ物やよだれの接触源、おむつや首のシワの間のように蒸れて、こすれるなどの外的要因で、容易に皮膚炎が生じます。一部の乳児の中には確かに食物へのアレルギーと体の皮膚炎が結びついていることがありますが、皮膚科医であれば皮疹の分布や経過からだいたい検討がつくものです。
ところで、皮膚炎のある部位は、皮膚本来のバリア機能が悪くなっているため、皮膚にくっついた異物(ホコリ中のダニや食物などのアレルゲン)に反応するようになってしまうこと、つまり皮膚炎からアレルギーが発症するという説が有力です。そのため、治療のポイントは皮膚炎のコントロールとなります。

Q3アトピー対策として、乳幼児で注意することとはなんでしょうか?

A乳幼児の皮膚はとてもデリケートで弱く、すぐに皮膚炎を生じます。皮膚炎は速やかにお薬の力を借りて改善させます。そのうえで、乾燥に対する保湿のスキンケアを、食べ物やよだれが付着するお顔は清潔と保湿のスキンケアを、汗で蒸れ、擦れるオムツの中や首のシワの間などは清潔のスキンケアを心がけます。早期に適切な治療を開始することによって成長とともに皮膚が丈夫になるため、自然緩解が十分に期待できます。

Q4薬は必ず使用しなければならないものでしょうか?ステロイド剤の使用が不安です。

A炎症が起きている皮膚には、血液中から「炎症細胞」が集まっています。皮膚炎のある部位をさわると、ごわごわと厚く感じるのはそのためです。炎症細胞からは、さらに炎症を引き起こす物質がたくさん分泌されます。そこでは皮膚のバリアとしての機能は低下し、乾燥やアレルゲンの侵入によって炎症がさら悪化し、第一かゆくなって悩まされます。この炎症をストップさせるためにお薬の力を借りる必要があります。

現在、お薬の主体はステロイド剤となります。
ステロイドホルモンは、副腎皮質という臓器で人体が自然に産生しているホルモンの構造を再現した薬物です。皮膚科医が通常の使用法を指導しているかぎり、薬の吸収によるホルモンとしての全身的な副作用は実際、心配ありません。ただし、皮膚表面の副作用(皮膚が薄くなったり、毛包炎がおきたり)はあり得るため、定期的な診察でチェックして、減量できるよう使用方法を工夫していきます。

アトピー性皮膚炎では、薬を塗らなくなるとまた元にもどるため、ずっとステロイド剤を使用しなければならないのか、という心配もあると思います。しかし、一旦、炎症を改善させて、保湿剤を組み合わせていくことで使用する量を確実に減らしていけます。また、子供では炎症がない状態が続くことで皮膚は自然に丈夫になる(バリアが発達して)ので、薬がいらなくなることはよく経験します。
ステロイド剤以外の薬剤ではプロトピック(タクロリムス)も非常に有効です。それ以外に現状で炎症を確実にストップできる薬はなく、保湿剤だけでは炎症が続いてしまうことをご理解ください。

大人のアトピー性皮膚炎
Q1大人のアトピー性皮膚炎の特徴とは
Q2原因や治療に結びつく特別な検査ができるのでしょうか?
Q3治療の実際は?

Q1大人のアトピー性皮膚炎の特徴とは

A大人にみられるアトピー性皮膚炎は、小児期から続く場合や、一旦ほとんど治った後、再発する場合など様々な経過があります。症状の程度も患者さんによって多様ですが、特徴として、経過が長く社会生活が忙しいため症状のコントロールが不十分で過ごされてきた方も多くみられます。治療の目標としては、炎症によるかゆみをコントロールし、仕事や家庭生活にできるだけ影響がでないような状態に維持すること、かつ、治療継続によって薬の使用量を減らしていくこと、が考えられます。

Q2原因や治療に結びつく特別な検査ができるのでしょうか?

Aアトピー性皮膚炎に関連した血液検査

・TARC
アトピー性皮膚炎の程度を反映する血液マーカーです。

・総IgE値
アトピー素因(体質)を反映し、高値な場合、家族歴、他のアレルギー性疾患を合併している方が多いです。

・特異的IgE抗体
ヒョウヒダニ、ハウスダストへのアレルギー状態を6段階で評価します。
その他、花粉症やカビ、食物などアレルギー状態の有無を検討できます。

・血清LDH
皮膚炎の程度で上下します。

・白血球中の好酸球の数
アレルギー性疾患で増加する傾向があります。

パッチテスト
スキンケア用品や仕事で使用する物品にかぶれを合併していることがあり、検討する方法です。

金属パッチテスト
アトピー性皮膚炎のような皮膚症状が金属アレルギーを原因として生じるがあります。本検査によって代表的な金属アレルギーを検討できます。

Q3治療の実際は?

Aアトピー性皮膚炎治療の基本ステップ
第1段階 皮膚炎の鎮静化
症状に応じたステロイド剤やタクロリムス軟膏を適切に用い、炎症を改善していきます。特殊な治療として、ナローバンドUVBという紫外線療法を併用することがあります。さらに、今後、注射による新たな抗炎症療法が広まってくると思われます。

第2段階 よい状態の維持
維持のためには、外用剤の使用間隔を指示通り伸ばしていっていただき、最低限の薬剤使用量で、良好な状態を維持できるように指導します(プロアクティブ療法といい注目されています)。スキンケアも適切に持続します。

第3段階 維持療法
第2段階をキープすることで治癒(臨床的に、薬剤を使用しなくてもよい状態を保てる状態)をめざします。あるいは日常生活に影響が最低限となるようなセルフコントロールができる状態です。上記と並行して、日々起こりうる悪化因子に対処し、増悪させないことも大事です。悪化因子は患者さんそれぞれにより異なるため、ダニアレルギー、仕事や人間関係のストレス、疲労、月経、スキンケア用品や仕事で使用する物への接触アレルギー、紫外線、乾燥した気候、汗、花粉症や季節性アレルギーなどを個別に検討し、できるだけ発見して対策をとっていきます。