基礎編

ヒトの表皮は0.2mm程の厚みで、主に表皮細胞が層状に配列して、ところどころに色素細胞が分布する構造となっています。

この”表皮細胞“と”色素細胞“の二つの関係によってシミが生じてきます。

通常、色素細胞は黒い色素である“メラニン”を作り、表皮細胞に手渡ししています。

表皮細胞はそのメラニンを利用して、紫外線から細胞をまもるプロテクターとしています(核の上に帽子状に観察されるため文字通り“核帽”という)。

ただし、健康な表皮細胞は、新陳代謝し、基底側から分裂し、約28日かけて徐々に肌表面に移動していきます。最後は角層になって垢としてはがれ落ちます。これがターンオーバーです。ターンオーバーとともに表皮細胞の中にとどまっていたメラニンも排出されるため、肌の色調は一定に保たれます。

さて、シミの原因として、

Aメラニン産生が過剰になる。

B表皮細胞の分裂が遅くなり(ターンオーバー時間が伸びる)、メラニンを溜めこむ。

の二つがあります。

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Aの代表疾患として”肝斑”があり、原因としては、
①紫外線
紫外線の影響がもっとも大事です。紫外線を受けた色素細胞には一生懸命メラニンを作ろうとするシグナルが発し、紫外線のダメージから皮膚を守ろうとします。

②肌の炎症
肌への刺激、特に“こする刺激”は炎症を引き起こしメラニン産生を亢進します。ニキビや湿疹による炎症も最後は色素沈着をきたします。

③内分泌・ホルモンの影響
女性ホルモンであるプロゲステロンが高い状況では、メラニン産生が亢進します。

Bの代表疾患として、〝日光性(老人性)色素斑″があり、原因は、端的に言えば表皮細胞の“老化”です。
老化の原因は、主に長年の紫外線暴露による“光老化”がメインとなります。
さらに年齢による避けられない内的老化があり、加えて酸化ストレス(タバコ、大気汚染物質、活性酸素、etc)や糖化ストレス(血糖が高い状況で、皮膚のタンパク質と糖が結びつき老化させるルート、メタボリック症候群と関係)もいわれています。

対策
まず、スキンケアの基本として、日焼け止めの使用習慣擦らないスキンケアを強調します。日焼け止めは外出時は冬でも使用しましょう。また摩擦の刺激がメラニン産生をアップします。洗顔、クレンジングの際に擦らないように意識しましょう。

そのうえで、溜まったメラニンを取り除き、美肌を作る美容皮膚科的アプローチについて、次回②でご説明します。また、紫外線対策について次の記事で触れさせていただきます。