最近広く知られてきたこととして、食物アレルギーは、皮膚炎のある皮膚に食べ物が接触することによって始まる(感作という)ため、頬や口の周りの皮膚炎をしっかり治療する必要があるということです。

そして、連休中に目にした論文で、さらに興味深いものがありました。それは、
Leyva-Castillo JM博士らの論文(Mechanical Skin Injury Promotes Food Anaphylaxis by Driving Intestinal Mast Cell Expansion. Immunity. 2019 Apr 10.)です。

非常に簡単にまとめると、
「皮膚を機械的にひっかくこと」と、「腸管の(食物)アレルギーの悪化」とがリンクしていることをマウスの実験で示したした、という内容です。

具体的には、皮膚をひっかいて分泌されるサイトカインの一種が血流を介して、腸にいる肥満細胞(じんま疹の細胞と同じ)増やす、ということのようです。肥満細胞は皮膚ではじんま疹の原因となり、腸でも、腸管の透過性を高める作用があります。

今後は人間でも検討されるでしょう。人体はつながっていて相互に影響を及ぼしあっているのですね。

臨床家としては、できるだけ低年齢のうちに皮膚の炎症をコントロールしておくことで全身のアレルギーによい影響を及ぼすことが十分予想される内容で、今まで通り患者さんに指導していきたいと思った次第です。