乾癬とは

白いカサカサしたフケ(鱗屑)をつけた赤い斑点が頭や体(体幹部、肘、膝、股、へその周りなど)に出現し、慢性に経過する皮膚疾患です。痒い場合もありますが、半数以上の方ではあまり痒くないと言われています。多くはこのような局面型といわれる乾癬ですが、関節炎や爪の変形を合併したりすることがあります。

乾癬になる原因

原因は特定されていませんが、遺伝的素因を背景に、免疫系や表皮角化細胞の異常が引き起こされていることが考えられています。食生活を含めた生活様式が欧米化してきたことで有病率が増えてきたり、乾癬とメタボリック症候群が合併していることが疫学的観察から報告されていますが、決定的な説明は研究途上です。

乾癬の治療法

①一番基本となるのは塗り薬です。炎症をとるステロイド剤と、活性型ビタミンD3製剤の併用が有効です。最近、両者が合わさった新しい軟膏剤が出て、有効かつ使いやすさが向上しています。

②皮膚の患部が広く、塗り薬が大変なときは、光線療法が有効です。これは、紫外線のUVBのうち、311~312nmという特定の波長だけ治療に用いることができる機器(ナローバンドUVB)を使用し、週1~2回照射することで皮疹が改善していく有効な治療法です。

③1年くらい前からオテズラ錠という比較的副作用が少なく、効果の高い内服剤が用いられています。開始した方の中には著効する事例もみられ、有望な治療法の一つと考えられます。

④近年、”生物学的製剤”という新しい作用メカニズムで炎症を抑える注射剤が日進月歩で複数登場しております。効果が高いですが、副作用や事前の健康チェックが必要となり、これらは総合病院に紹介して治療を受けていただくことになります。

乾癬の治療における注意点

一般に根治し難く、慢性に経過すると言われてきましたが、いくつかの治療によって皮疹が軽快し、長く症状がでなくなることもよく経験します。根気よく治療を続けて症状の安定化を図っていくことが大事です。また、皮膚をこすったり、刺激を与えると皮疹が急に悪化すること(ケブネル現象という)があるため、体を洗うときはナイロンタオル等は使用せず、優しく洗いつつ清潔を保ちましょう。