アレルギー

アレルギー診療

当院では、下記の1~4に力をいれております。

  1. アレルギー性接触皮膚炎(化粧品や日常生活で皮膚に触れる物へのかぶれ)の診断と治療
  2. 薬疹・薬剤アレルギーの原因の特定
  3. 金属アレルギーの診断(パッチテスト)
  4. 特殊な食物アレルギーの原因検索とエピペンの処方を行っております。エピペンはハチアレルギーや食物アレルギーによってアナフィラキー症状が生じた場合、初期対応として使用する自己注射剤です。

よくある質問Q&A

Q1薬による副作用を疑う皮膚症状・薬疹とは?
Q2薬疹の原因を特定する検査とは
Q3薬疹の治療法とは
Q4金属アレルギーによる症状とは
Q5金属アレルギーとなるメカニズムとは
Q6金属アレルギーの診断、検査について
Q7治療法と生活上の注意点
Q8アレルギー性接触皮膚炎(化粧品かぶれ、手あれ)とは
Q9化粧品かぶれや手湿疹の種類
Q10化粧品かぶれや手湿疹の治療法とは
Q11化粧品かぶれや手湿疹の治療での注意点
Q12エピペンとは、また必要となる状態とは

Q1 薬による副作用を疑う皮膚症状・薬疹とは?

A原因不明の発疹が飲み薬の副作用として出現することがあり、〝薬疹″と表現します。代表的な発疹の特徴は、胴体を中心に広く、左右対称に出現することです(はしかのような形が多い)。発疹の形や分布は多彩ですが、通常は原因薬の中止によって比較的軽症で治癒することが多いです。まれに目や口、陰部などの粘膜に症状がでる場合があり、重症化が懸念され、早期治療が必要です。
その他、特殊な薬疹ですが、外来でよく遭遇するものとして

固定薬疹

ある薬を飲むたびに、決まった部位に丸い灼熱感のある発疹が生じる状態です。灰色っぽい色素沈着を残して治癒します。
口唇や手指、陰部などが好発部位ですが、原因に気づかず繰り替えし生じているケースがあります。典型例としては、月経のたびに鎮痛剤を使用し、固定薬疹を生じていた方がいました。

新しい抗がん剤による薬疹

分子標的治療薬と呼ばれる薬剤による薬疹の患者さんが増えています。にきびのような皮疹、乾皮症(からだや手足)、手足の皮がむけて痛む、手指の陥入爪などが代表的です。主治医と連携しながら患者さんの状態に応じて対処します。

Q2薬疹の原因を特定する検査とは

A診断には病歴の聴取により、原因薬を推定することが最も大事です。
原因薬の推定には、まず最近新たに使用した薬剤を検討し、文献を参考に当たりを付けます(お薬手帳が役立ちますので持参してください)。一般に「長く飲んでいる薬だから心配ない」と考えがちですが、ある日、急に出現することがあり、そうともいえない場合があります。

たくさんの薬を飲まれている場合は、薬疹の頻度の高いものにしぼって、一定期間お薬を変えていただいたり、休薬していただいたりします。これは必ず処方されているドクターに連絡をとって依頼します(自己判断で勝手に薬を中断することは病気の悪化を招き危険です。)目や口、陰部などの粘膜に症状がでる場合は重症化することがあり、早期治療が必要です。
多くはアレルギー性で、治療の原則は原因薬の特定と使用の中止が鉄則です。

検査としては、下記の①~④を組み合わせて行います。
採血では、①白血球中の好酸球という成分の増加の有無に着目し、②リンパ球幼弱化試験を提出します。これは、患者の血液と薬を掛け合わせて、反応をみる方法です(薬疹の血液検査を行う場合は、内服薬の現物を持参していただきます)。その他に③皮膚パッチテスト(薬を砕いて調整し、背中に2日間貼る。)④皮膚生検、があります。

Q3薬疹の治療法とは

A薬疹の治療は、原因薬の中止が鉄則となりますので、原因薬の特定が何より大事となります。通常は、薬が中止されると自然に軽快してきますので、対症療法的な外用剤がメインとなります。重症化が懸念される場合は、早期にステロイド剤の全身投与が必要となります。 予防のためには、いままでご自分が薬疹を招いた薬を記録していて、次回投薬される際に医師に伝え、同じ、または同じ系統の薬剤をさけることが必要です。お薬手帳に記入して持ち歩くとよいとおもいます。

Q4金属アレルギーによる症状とは

A金属と関係した皮膚のトラブルとしては、
金属かぶれ(アレルギー性接触皮膚炎)と、体にとりこまれた金属による(全身性)金属アレルギーがあります。
前者は、ピアス、ネックレス、腕時計、ジーンズやベルトの金属部分があたるヘソ周囲、ビューラーのあたるまぶたが代表的で、夏場の汗をかきやすい時期に、時計やベルトの部位がかゆくなる、といった症状がおこります。

後者の金属アレルギーが関係している皮膚病として、①汗疱状湿疹(手の平、足の裏に透明なプツプツした水疱ができて、かゆい、または重苦しく感じる症状)、②掌蹠膿疱症(手のうら、足のうらの皮膚がガサガサして膿をもったブツブツが慢性に続く症状、③扁平苔癬(体に紫がかった斑点、口腔内や陰部の粘膜が荒れて痛むといった症状)の頻度が高く、それ以外にも、体中に原因不明の湿疹(ボコボコして盛り上がった痒疹、丸い湿疹である貨幣状湿疹)、斑点が広汎に生じる状態にも金属アレルギーが関係しているこも経験します。

Q5金属アレルギーとなるメカニズムとは

A日本人では、ニッケル、クロム、コバルトが3大アレルゲンですが、これらは溶けてイオン化して、皮膚の細胞にくっついた状態で、アレルゲンとして体が反応します。典型的には、ピアスにニッケルが含まれるとピアスホールの微細なキズで感作され(=アレルギー性が生じ)、以後、ニッケルアレルギーとなってしまうのです。金属のイオン化に汗が関わり、また皮膚の微細なキズ(ひっかくことによる)ではバリア機能が壊れて組織が露出し、免疫細胞と金属が接触してしまうため、発汗の多い夏場のネックレス、時計などの装身具をつけた首や腕ではかぶれやすくなるのです。汗に加えて皮膚表面の常在細菌が関与するという説があり、夏場に悪化します。

Q6金属アレルギーの診断、検査について

A当院では、金属パッチテストを行って金属への接触アレルギー(感作の有無)を検討しております。 原則として以下の種類の金属を一度に検査します。これによりアクセサリーや身の回りの日用品、歯科金属に使用される金属が検討できます(塩化アルミニウム、塩化コバルト、塩化第二スズ、塩化第二鉄、塩化白金酸、塩化パラジウム、塩化マンガン、三塩化インジウム、四塩化イリジウム、臭化銀、重クロム酸カリウム、硫酸クロム、硫酸ニッケル、塩化亜鉛、塩化金酸、硫酸銅、塩化第二水銀)。
検査は、背中の上の方に、上記の試薬がついたバンソウコウを貼り、2日後に剥がしに来ていただき、翌週、最終判定としています(たとえば、月曜、水曜、翌週の月曜、というように3回の通院が必要です)。

Q7治療法と生活上の注意点

A最も身近な金属で、溶出によって人体に取り込まれ得るものは、歯科材料ですので、定期的な歯科への受診によるメンテナンスが勧められます。もし、それらに使用されている金属が検査で強く陽性となれば、金属の除去や交換が必要となることがあります。歯科の先生に情報提供し、対応を検討していただいています。また、ニッケル、クロムは豆類を中心とした食品中に多く含まれ、該当する食品(とくに嗜好品)を一定期間控えていただき、皮膚症状の改善があるか検討することも行われます。控えていただく嗜好品として、コーヒー、タバコ、ナッツなどの豆類が有力候補となります。

Q8アレルギー性接触皮膚炎(化粧品かぶれ、手あれ)とは

A①女性を中心にお顔のかゆみがなかなか治らない場合、化粧品による接触皮膚炎が疑われます。化粧品に限らず、洗浄料やスキンケア用の基礎化粧品、メイク、日焼け止め、頭髪の毛染め剤、シャンプー剤、整髪料等、顔の皮膚に接触するものすべてが原因の可能性となります。また、化粧品かぶれと思っていても、単に、長年の洗顔法の習慣が間違っていたことが原因だったり、過度に擦っていたり、前髪の毛先がまぶたにかかっていることによる接触皮膚炎も併発していることが多く、詳細な問診と皮疹の観察が解決のカギとなります。②主婦や医療、介護職の方、理美容師の手荒れがひどく困っている方が多くいます。頻回の手洗いや洗剤中の界面活性剤の影響で、皮膚の保湿成分が失われ、バリア機能が低下(刺激性接触皮膚炎)しやすい状況で、さらに種々の製品中のアレルゲンに反応するようになります(アレルギー性接触皮膚炎の合併)。

Q9化粧品かぶれや手湿疹の種類

A接触皮膚炎には、成分に対するアレルギー反応によるかぶれと、界面活性剤などの成分の刺激による刺激性皮膚炎があります。前者の場合の裏付けとして、パッチテストが役に立ちます。また、基礎疾患にアトピー性皮膚炎があるとバリア機能が低下しているため、両者の合併の頻度が高くなります。

Q10化粧品かぶれや手湿疹の治療法とは

A問診と皮疹の観察、使用化粧品や洗浄料、手袋等皮膚に触れるものの成分を拝見し、疑わしいものの中止、変更をアドバイスします(経験上、あるいは文献報告でかぶれやすい成分、情報を基に) その上で、皮膚炎の薬物療法を行います。                                                                    接触アレルギーの検討には、パッチテストを行って検討します。患者さんの皮膚に接触する可能性のあるものすべて(石鹸からシャンプー、基礎化粧品、メイクで使用するもの、手指の消毒剤、手袋の実物等)持参していただき、そのまま、あるいは適当な濃度にサンプル調整して背中に48時間貼付します。

Q11化粧品かぶれや手湿疹の治療での注意点

A女性はスキンケア法や化粧品の選択を習慣として行い、その方法は十人十色です。顔のかゆみが続く場合、今の化粧品は長年使用しているから大丈夫という保証はないため、一度専門医を受診してみてください。客観的な視点、専門家のアドバイスを少し取り入れるだけでも症状が改善する場合があります。なお、市販薬を使用して自己治療しようとすることは副作用の点から危険ですのでやめましょう。                                     理美容師の方で、シャンプーに含まれる界面活性剤への接触アレルギーが起きている場合は適切なグローブの使用でアレルゲンに触れないような注意が必要となります。アレルギー性接触皮膚炎の場合、アレルゲンに触れる限り皮膚炎が治らないので、治療と並行して原因の特定と除去がポイントとなります。

Q12エピペンとは、また必要となる状態とは

Aエピペンはアドレナリン(エピネフリン)製剤の自己注射剤です。様々なアレルギーが元で致命的なアナフィラキー症状が生じた場合、初期対応として使用することで役立ちます。救急車が到着する前に使用する自己注射剤です。適応となる方とは、頻繁にハチに刺され、抗体ができてしまった方、頻繁にハチにさされるリスクのある方(例えば林業)食物や薬剤アレルギーがありアナフィラキーのリスクのある方で、救急時への備えとして、健康保険適応されます。

Q13使用における注意点とは

A使用のタイミング、具体的使用法について、外来での処方時にご説明します。また使用後の注射器、使用せず消費期限が切れた製品はかならず返却していただき、医療用廃棄物として処分することが義務付けられています。