ステロイド剤を中心とした外用療法は今でもアトピー性皮膚炎治療の中心ですが、炎症の改善が不十分な方も多くおられます。最近、全身療法(皮下注射)であるデュピクセントの登場によって、重症度の高い方に大きな恩恵をもたらしています。
注射剤は非常によく効く場合が多い反面、コストや、自己注射への抵抗感があるのも事実です。
アトピー性皮膚炎の治療薬はここ1,2年でさらに進歩し、まさに百花繚乱のごとく新薬が登場しています。
本日、読んだ論文は、以下の2本です。
①中等度から重度のアトピー性皮膚炎の患者でリンヴォック錠を1年間使用した場合の安全性と効果に関して
Efficacy and Safety of Upadacitinib in Patients With Moderate to Severe Atopic Dermatitis
Analysis of Follow-up Data From the Measure Up 1and Measure Up 2 Randomized Clinical Trials Eric L. Simpson,et al JAMA Dermatology Published online March 9, 2022
結論→ 有効かつ安全性に大きな懸念なし。
②いろいろあるけど、アトピー性皮膚炎の全身療法でいったいどれが有効なのか(サイバインコ、リンヴォック、オルミエント、トラロキヌマブをデュピクセントの効果比較・メタ解析)
Systemic Immunomodulatory Treatments for Atopic Dermatitis Update of a Living Systematic Review and Network Meta-analysis Aaron M. Drucker, MD et al. JAMA Dermatol.Published online March 16, 2022.
上記の論文に登場するお薬、サイバインコ(ファイザー)、リンヴォック(アッヴィ)、オルミエント(リリィ)、トラロキヌマブ(レオ)に加えて、さらに、かゆみの原因物質とされるインターロイキン31(IL-31)に対する中和抗体の注射であるミチーガ(ネモリズマブ)がマルホ株式会社から販売されるようです。
このようにアトピー性皮膚炎の治療は日進月歩です。副作用、効果、コストの点でどういう場合にどれを選択すべきか、統一した治療指針の完成が待たれます。我々現場の医師も勉強を続け、患者さんに貢献できれば本当にうれしいです。