手湿疹が難治で困っている患者さんがたくさんいらっしゃいます。一言で手湿疹といってもいくつかの異質な病態が混在していますが、専門的には、手湿疹はどのように分類され、理解されているのでしょうか?

Diepgen博士は手湿疹を原因と所見から7つに分類しています(British Journal 2009)。

  1. アレルギー性接触皮膚炎(=かぶれ)
  2. 刺激性接触皮膚炎(洗剤、界面活性剤による刺激など)
  3. アレルギー性接触皮膚炎+刺激性接触皮膚炎(理容師さんの手荒れが代表)
  4. アトピー性手湿疹
  5. アトピー性手湿疹+刺激性接触皮膚炎(アトピーの患者さんが手洗いや洗い物を多くする仕事に従事した場合など)
  6. 水疱型(汗疱状湿疹=異汗性湿疹)主に夏季に手のひらや指の側縁に水疱ができる状態
  7. 過角化型(汗疱状湿疹が慢性化して角質が厚くなってきた状態)

手湿疹は治りづらいことも多いのですが、それにしてもなぜこのような状態になっているのかを分析して患者様に説明することはこころがけているつもりです。

さて治療としては、外因性の因子がある①②③は徹底的に原因追究して除去します。接触皮膚炎ではパッチテストでアレルゲンを検討します(ゴム手袋のかぶれ、ゴム手袋のパウダーによる角層の障害、化粧品やシャンプーの成分のかぶれがないか、など)

内因性の(体の中に原因のある)、とりわけ汗疱状湿疹の治療はどうでしょうか?

欧米の治療ガイドラインでは、多汗症の改善が治療につながるとして、ボツリヌス毒素の注射や、イオントフォレーシス(電気による治療)が有効とされていますが本邦では一般的ではありません。

結局ステロイド剤の外用をメインに、ひどいときは内服薬が追加される、ということが標準的ですが、当院では、エキシマ光線療法を手湿疹の重症例に施行することで炎症のコントロールがかなり改善する例を経験しております。今後も治療の工夫を積み重ねてまいりたいと思います。