薬物アレルギー、薬疹、中毒疹

原因不明の発疹が飲み薬の副作用で出現することがあります。

発疹の特徴は、胴体を中心に広く、左右対称に出現することが多いです(はしかのような形が多い)。

多くはアレルギー性で、治療の原則は原因薬の特定と使用の中止ですので、処方されている内科や他の科の先生に御連絡し、薬剤の中断や変更をお願いすることがしばしばあります。

薬疹の症状は多彩です。

原因薬の推定には、まず2週間程以内に新たに使用した薬剤を検討し、『薬疹情報』という書籍や文献をしらべ推定していく、という作業が必要です。薬によっては、長期間使用していて急に出現することがあります。目や口、陰部などの粘膜に症状がでる場合はひどくなることがあり、早期治療が必要です。

診断には病歴の聴取が最も大事です。

検査としては、採血(リンパ球幼弱化試験)、パッチテスト(薬を砕いて調整し、背中に貼る。)、皮膚生検ができます。

 

その他、特筆すべきタイプの薬疹

DIHS ; 特異な薬疹

DIHSは、i) 抗けいれん剤や痛風治療薬など、ある限られた種類の薬剤だけで発症する、ii)薬剤を中止しても症状が遷延する、iii) 薬剤アレルギーに誘発されて、潜んでいたヘルペス系のウイルスが再活性化する。それに対する体の免疫反応によって症状が出現する(高熱の持続、肝障害や皮疹の遷延)ことです。

新しい抗がん剤による薬疹

分子標 的治療薬と呼ばれる薬剤である、イレッサやタルセバ、グリベックによる薬疹の患者さんが増えています。にきびのような皮疹、乾皮症(からだや手足)、陥入 爪などが代表的です。また、ネクサバールによる手足症候群も重要です。使用からのケアにより悪化を防いだり、薬剤の減量で継続が可能な例場合もあり、主治 医と連携しながら患者さんの状態に応じて対処します。

固定薬疹

ある薬を飲むたびに、決まった部位に灼熱感や発疹が生じ、たいてい色素沈着を残す薬疹です。

口唇や手指、陰部などが好発部位です。原因に気づかず、月経のたびに発症する女性がおられ、お話をお聞きすると生理痛の鎮痛薬を内服後に発症することがわかったケースがあります。

診断には、病歴の聴取で疑い、必要に応じて 患部へのパッチテストを行うことがあります。