身近なペットであるかわいいネコですが、意外と人間の皮膚病の原因となります。最近、ネコにまつわる皮膚疾患で受診される患者様が多く感じ、以下にまとめてみました。

白癬(たむし) “結構多い”

ネコの持っている白癬菌からの感染により、特にヒトの顔や首に丸い(環状)斑点が生じます。比較的炎症が強いので、赤みが目立つのも特徴です。動物からのタムシといえば、畜産業の方では、牛からもよく感染しますが、牛から感染するたむしは手に好発するようです。

ネコひっかき病

特に仔ネコに咬まれたり引っ掻かれて、数日たってから、その部位が腫れたり、膿をもってきたりしてくる状態。原因はグラム陰性桿菌による細菌感染症。

パスツレラ感染症

ネコに咬まれたり引っ掻かれてから比較的すぐ(30分から3日)腫れて痛みだす細菌感染症です。パスツレラ属菌はネコの口腔内の常在菌(=いつでも存在する細菌)ですが、犬にも見られます。また、ネコ咬症では他の化膿菌(黄色ブドウ球菌や溶連菌、嫌気性菌など)との混合感染となり、時にひどくなる(蜂窩織炎)こともあります。

ネコノミ刺症

ネコやイヌなどの動物から落下し、人を吸血するノミ。 30cmくらいジャンプするので主にひざ下(すね)が多く被害にあいます。皮膚症状は、中央に出血点のある、ときに水疱の混じったイボ状の発疹で、激しいかゆみがあります。

ネコのお産場所(ガレージ、物置など)はネコノミ発生の中心で、このような場所に出入りする飼い猫がノミの寄生を受け室内に持ち込むとされています。

nekonomi

(飼いネコが持ちこんだノミ、患者さんの寝室から採取し、持参していただいた)

ネコ疥癬

ネコに感染した疥癬虫がごく稀にヒトへ感染することにより、赤くてかゆいポツポツが体に生じます。人での検出は困難なため、獣医さんにネコで検出、診断してもらいます。幸い稀な病気と思われます。

ネコアレルギー

ネコ(犬も)のフケが空気中に舞い、アレル ゲン(エアロアレルゲン)となることがあります。皮脂腺と唾液腺の成分がアレルゲンとなることが知られており、ホコリとともに吸入され、気道や結膜にアレ ルギー性反応を引き起こします。採血によるアレルギー検査によって、ネコや犬に対するIgE抗体を検討できます。