ニキビは、男女とも、早い方で9~10歳ごろからみられるありふれた皮膚疾患ですが、適当に放置すると、顔にニキビ痕(=キズ痕)が残る、という厄介な問題があります。

 幸い、いくつかの有効な新薬が登場しています。 医療機関でニキビを治療する目的は、きちんと医薬品を用いることで顔にニキビによるキズ痕を残さないこと、といえます。

 さて、ヒトの顔には、ニキビは出ていなくても原因菌(ニキビ菌=ざ瘡桿菌、アクネ菌)が常に存在しています。

ニキビ菌はポルフィリン体という物質を作り、これは紫外線を当てるとピンク色に発光するため、紫外線撮影装置で観察できます(青色の写真が紫外線を当てて撮影したもの。鼻周囲がピンク色に光り、ニキビ菌の存在がわかります)。rebeau1

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                                       (機器メーカー提供、モデル画像をトリミングして使用)

さて、思春期以降の毛穴の入り口は、“角質によるつまり” が起こりやすくなり、額や鼻のまわりには白くて小さなツブツブがみられ、これがニキビの芽で、面皰(=コメド)といいます。

ニキビ菌は、皮脂を栄養源としているので、毛穴が詰まって皮脂がたまっているコメドでは、繁殖します。また、コメドは、閉鎖空間で酸素がいき渡らない環境ですが、そこではニキビ菌は炎症を引き起こす“悪い”性質に豹変します。こうしてニキビは赤く腫れて、ゴツッとした赤ニキビとなります。この、赤いニキビこそ、最終的に“キズ痕”となるものです。

上述より、i)ニキビ菌はニキビのない顔にでもいる常在菌であること、ii)毛穴がつまって繁殖すること、さらに、iii)低酸素下になると急に悪さを増して、赤ニキビをもたらすこと、iv)赤ニキビを放置するとキズ痕が残ること、がお分かりいただけたこと思います。

つまり、ニキビ治療のポイントは、①適切な抗菌療法と、②コメドの解消という2点に尽き、③適切なスキンケアが必要条件となるのです。