ざっくりと、皮膚におけるビタミンAは、3つの形態で存在します。

①90%以上はレチノール誘導体で、お肌に蓄積される形のレチノールです。

②安定して蓄積されたレチノールのストックから一部がレチノールに転換されます。レチノールは分解されやすい不安定な物質であることが化粧品の成分に使用する際のネックとなります。

③さらにレチノールから誘導されて表皮に直接作用するビタミンAは、レチノイン酸(=トレチノイン)です。レチノールはレチノイン酸に転換されてはじめて効果を発揮します。
ただし、化粧品やクリームとしてトレチノインを塗ると、ビタミンAのお肌への効果が強烈に起きるため、表皮は激しく分裂し、落屑し、赤くヒリヒリしてきます。これをトレチノイン皮膚炎といいます。

そのため、肌への効果は圧倒的に弱いが、トレチノイン皮膚炎を起こさないように化粧品には、レチノール誘導体や(純粋)レチノールのほうが用いられます。
レチノール誘導体は、皮膚への刺激が少ないことと、成分の安定性が高いこと、お肌に自然に蓄積、存在する成分であることに加えて、紫外線に対する防御効果があることも利点で、優れた製品として、エンビロンが有名です。

純粋レチノールは、レチノール誘導体に比べて、お肌への浸透性が高いことが利点です。一方、化粧品に配合しようとすると、光や熱や酸化に対して、不安定である点がネックと述べましたが、資生堂の製造技術によりこの問題はクリアされています。